ターゲットの購買活動の一連の流れからWeb戦略のヒントを得ることができる。
これだけ知っていればWeb戦略を十分に考えることができるようになる6つのポイントをご紹介する。
ぜひ役立てていただければ幸いだ。
ユーザーは何かしらの導線をたどってWebサイトにたどり着く。
突如Webサイトが表示された、なんていうことはPCがウィルスに感染されている以外にない。
つまりWebサイトに来ている時点で何かを求めて能動的に動いているということだ。
Webにたどり着くまでの経緯を追っていくと様々なパターンが想定される。営業マンが渡すパンフレットあるいは口頭で説明するサービスの内容やDMなど前提となるものがあってWebサイトに来ているかもしれない。
であれば、なんとなく検索に引っかかってきたわけではなく、予め認知されている情報がある状態でWebサイトにきたユーザーがどんな情報を求めているのかは一考に値する。また、営業マンやDMで打ち出しているブランド観と実際のWebサイトのブランド観は一致しているか、媒体は違えど一連の流れの中でブランド観が変わってしまってはいけない。
情報はできるだけシームレス(スムーズに繋がっている状態)にしておくべきであり、違和感を感じさせたり迷いを誘発してはならない。
ブランド観の話は改めて記事にするとして、ここで取り上げたいことは、ユーザーがWebサイトにどういう情報を求めにきていて、あなたの会社がそのユーザーに次にどういう行動をとって欲しいかを考えておいた方がよいということである。
それにはWebサイトを見に来る時点でのユーザーの状態やモチベーションを知るということも大切だ。つまりWebサイト単体でユーザーの動きを図ったり、知ろうとするのは根本的にずれている。
人の消費活動モデルでよく知られているものとして、AIDMAやAISASがあるが、人は認知から購買にいたるまでに下記のように多くのステップを踏んでいる。
認知→興味→欲望→記憶・比較・検討→購入
Webサイトが認知から購買まで全てを担っているわけではないし、どこからどこまでがWebサイトの役割であるかもビジネスモデルごとに異なる。
ゆえに、「とりあえずWebサイトをリニューアルしよう」という曖昧な考え方で走り出すのではなく、自社ビジネスモデルの中でのWebサイトの役割を明確にした上で、「ではWebをどうするべきか」を考えていくことが本質的にWebサイトを良くするための第一歩である。
そういった考えを前提に、制作会社と議論できるとよりビジネスとして使えるWebサイト制作になるだろう。
例えば人と人の出会い方には色々なパターンがある。友達の紹介で出会うこともあれば、バーベキューのような皆で集まる場所でたまたま出会うこともあれば、ビジネスの場で出会うこともある。交流会のような場所で誰との繋がりもなく繋がる場合は相手は自分のことを全く知らない。
一方で、友人の紹介で誰かに出会うのであれば予め相手に自分の情報が渡っていることだろう。接点の持ち方によっては第一印象の前の第0次印象のようなものがあるということだ。
Webサイトでいう第0次印象は広告やチラシなどWebサイトにたどり着く前にユーザーが見ているものだ。Webサイトに訪れるユーザーがどういう情報を見てきているのか、そういった前後関係を考えながらWebで何を表示すべきかを考えておくべきである。
先ほどAISASモデルを例にあげたが、Aはアテンション(注目)である。どこかで認知されるということだ。
この認知に関しては人は受動的であることが多いだろう。どこかで何かにたまたま出くわす、その出くわす確率を上げるために広告などがあるが、これらは受動的なモデルだ。
対してWebサイトはユーザー自らがアクセスしてくる。もちろん検索結果でたまたま出てきた、というのはあるが、検索をする行為自体は「探す」という能動的なモデルだ。
つまりWebサイトにアクセスがあるというのは圧倒的に能動的な動き多く、何かを求めてやってきているわけだ。その意味で広告やチラシ、営業とは本質的にコンテンツとの接し方が異なる。
アテンションのフェーズでは情報をとにかく認知してもらうことが必要だ。もちろんただ気づかせればよいのではなく、いかに興味を持たせる注意の引き方ができるかが重要であるが、これは言い換えればいかに自分ごとだと思わせることができるかどうかである。
少しでも自分ごとだと思ったユーザーはそこから導線をたどってWebサイトに訪れてくる。そしてそういった能動的な行動の背景には当然理由がある。ユーザーはWebで何を解決しにきたのだろうか?
仮に新築を建てたい人が広告からWebサイトにたどりついたとする。
家を作りたい人が建築事務所や工務店を探しているのは当然のことであるし、Webサイトに家が作れますよ、といってもそれは何の解決にもならない。家を作れるところを探せないで困っているわけではないからだ。
家を作ること自体は悩みではなくあくまでも前提事項であり、その先の建築にかかるコストや家の耐久性、住宅環境、デザインなどに悩みがあるはずだ。
そして、ありがちなのはコスト勝負に走ることだ。もちろんコストは誰もが気にするところであるし、安ければ嬉しい。ただ、そういった低コストでものを手に入れたいというのは、常にある欲求ではあるが悩みではないことも多い。
あなたの会社が満たさなければいけないお客様の悩みはあなたの会社の強みそのものだ。
コストを下げることが強みだろうか?
もちろん業務効率アップが得意な会社でコストダウンを売りにしている会社は多くある。が、あなたの会社の強みは何なのか、他社と比較にして圧倒的にお客様の悩みを解決できるポイントはどこであるか、これは会社としての在り方になるので、役員等含めて共有しておきたい。
Webサイトに訪れたユーザーは、少なからず一定の期待値をもっている。その期待値を超えるものを提供できればユーザーの心をつかむことができるだろうし、そうでなければユーザーは離れてしまうだろう。
ユーザーが何を期待しているのか、そしてその期待の一歩上をいく提案ができるかどうか、これはWebサイトという枠組みの中だけの話ではなく、ビジネス的観点からあらゆるものに適用できる考え方である。
ではユーザーの期待値を超えるというのはどういうことか、ユーザーの本質的な悩みを理解できていなければ的はずれな提案となってしまう。
期待値の超え方は様々だが、一つ例をあげておこう。
住宅の例でいうと、新築を建てたい人の要望が、2世帯住宅で小さな子供も安心して住める住宅だった場合、色々な要件が考えられる。
まずは2世帯それぞれの居住空間をわけることや、小さな子どもでも安心して暮らせる素材を使った住宅、子供の急速な成長や子供が増えることを前提にしたリフォームが容易なつくりなど。
もっともっと細かい要件はたくさんあるが、新築を建てたい人はどんな家に住みたい、という要望があっても子供の成長に合わせた住宅づくりなど、先のことまで考えたプランは、自分ごとであってもわからない、気づかないことが多い。これはWeb制作の現場でもまったく同じことだ。
ユーザーの要望というのは非常にざっくりとしていてかなり曖昧で、むしろ明確な目的や悩みが自分でもわかっていないぐらいに考えておいた方がいいわけだ。
そういった気づいてないことに気づかせてあげること、そして解決の糸口を見せてあげることは期待値を大きく超えていく。
以上、ユーザーの購買活動における一連の流れからWebの戦略を考えてみると様々なことが見えてきたのではないだろうか。