Webに訪れ、情報を得て満足してもらったら、次はお問い合わせや資料請求、ECがある場合は購入に結びつけることなどWebには着地点がある。
この着地点のことをコンバージョン(CVと略す)といい、資料請求や購買など、あらかじめ設定していた目標行為(何をして欲しいか)を達成することを指す。
コンバージョンレート(CVR)という言葉もよく出てくるが、これはWebを訪れた人の中でどれだけの人がコンバージョンしたかの割合を指す。
コンバージョンを購買だとして、Webサイトに10,000人が訪れ、5人が購買した場合のコンバージョンは0.5%だ。
そしてこのコンバージョンをどこに置くか、これはあなたの会社のビジネスフローの中でWebの役割を考えると自ずと答えが見つかる。よくコンバージョンとして設定されるのは、お問い合わせや資料請求だが、それ以外にも例えば地図の印刷やクーポンの印刷なども考えられる。
Webがあなたの会社の全体のビジネスモデルの中で担う役割をもう一度整理し、そこに対してコンバージョンを設定し、運用の中でコンバージョンレートをチェックしよう。
Webサイトの大きな特徴として、「いつでも見ることができる」というのがあげられる。インターネットさえ繋がっていればいつでもどこでも見ることが出きるのだ。これは便利である一方「今選択する必要性」を排除している。
購入するかどうか、あるいはお問い合わせするかどうかを悩んでいるユーザーは大抵その場は保留する。
あなたも経験がないだろうか。保留の意思は我々人間に備わっているデフォルトの機能だと考えておいた方がよい。
では今すぐコンバージョンしてもらうためにはどのようにしたらよいだろうか。3つの方法を説明しよう。
売れる営業会社では「衝動買いをさせる」をキーワードに、いかに見込み客に対してその場の勢いで購入や契約をしてもらうかを戦略的に行っているところも多い。
Webサイトに訪れたユーザーには何かしらの背景があるということを前述した。つまりユーザーには顕在的な悩みがあって今Webサイトにいるわけだ。ユーザーの顕在的な悩みに対して再度それを強く思い出させること、そしてその悩みが晴れてなくなった時のことを明確に想像してもらうことが、ユーザーにとって今すぐコンバージョンする理由となり、衝動的な(そしてもちろんそれは正当な理由で)購買や契約に向かわせる。
特に時期的なものだからこその悩みだったり(例えば結婚式に向けてのダイエットなど)、早く始める方がメリットのあるもの(例えばアンチエイジング系など)などは今すぐにコンバージョンしてもらう理由になりやすい。
商品によっては今すぐ解決すべき悩みを対象としたものではないものもあるが、そういった場合はメルマガの登録や資料請求につなげるなどして除々にユーザーとの間に接触の機会を増やしていくことも考えなければならない。
ザイオンス効果という言葉はよく知られているが、接触の回数が多いものに対して好印象をもつという傾向が人にはある。
ユーザーの悩みは根本的には1つであるが、意外と副次的な悩みも多い。そういった副次的な悩みも一緒に解決してあげることができるというのはユーザーにとっては大きなメリットであるし、心が動くものである。
例えば、身体に入れるものにこだわりを持つ人であれば、安心で良質な水を毎日飲みたいと思っていることだろう。そこには、本当に安心安全な水を飲みたいけども、スーパーに売っているものに満足していないという本質的な悩みがある。そういう人たちに、良質な水の定期配送をしているウォーターサーバーの契約を持ちかけるとする。
そしてアプローチをする場合、本質的な悩みの解決手段である良質な水の提供に加えて、副次的な悩みに対する打ち手も提案する。
この場合考えられる副次的な悩みは、スーパーに買い物に行ったときに毎回家族が飲む分の水を何リットルも持ち帰るのが大変であることだ。
そのユーザーに自宅まで水を届けてくれるウォーターサーバーのメリットを伝えれば、その副次的な悩みを思い出してもらえる。本質的な悩みと同時に副次的な悩みも解決されることが大きなメリットになる。
対面営業の場合は、本来の悩みに加えて、相手の普段の私生活や考え方をうまくヒアリングして副次的な悩みも引き出し、目の前の商品がいかにそれを解決できるか、という説得をする。Webではそういったヒアリングはできないが、ターゲットの副次的な悩みを絞り出しそれに対する解決策としても有効であることを訴えることはできる。
ただ本筋は本来の悩みに対してどうできるかであり、あくまでも本筋からそれないことが重要であるが。
軸がぶれて本来のコンセプトが伝わらないWebサイトになってしまっては本末転倒であり、コンセプトが明確なライバル会社に破れてしまう。
全部70点よりは、どこか一つが100点である方がユーザーには刺さるし、そうでなければライバルには勝てない。
そういった意味では、スーパーにある水がウォーターサーバーでは提供できないほどの圧倒的に良質な水であれば、重たくても自宅まで持ち帰るだろう。
ユーザーは顕在的な悩みだけではなく、ユーザー自身が気づいているようでまだはっきりとは気づいていない潜在的な悩みも持っていることが多い。そういった潜在的な悩みはユーザーが解決方法を知らない、つまり解決できるものだと知らないがために、仕方なく現状を受け入れているようなこともある。
こういった部分に対してもフォローができるとより商品・サービスメリットを感じてもらえるだろう。保留の意思から実行に移してもらうためにも、詰めておきたいところだ。
クロージング、などとよく言われるが、迷っているユーザーを最終的にコンバージョンへ結びつけるためにインセンティブを付与する。
あなたも見たことがあると思うが、「今だけ○○万円!」「今なら○○%オフ!」「今なら○○も付いてきます!」など、最後のひと押しをすることで成約率や購買率を伸ばすのである。
もちろん資料請求のような無料のものに対しても「今なら○○のノウハウ本をセット」のような形でインセンティブを付けることができる。
ただインセンティブといっても、過度なものはおすすめしない。というよりは、先の戦略を考えられていないインセンティブはおすすめしない。
例えば、とりあえず集客するために一時的なコストメリットで集客しても、継続購入を見込めるだけの戦略がなければ後が続かないからだ。インセンティブとはあくまでも体験を提供するものだ。
コストメリットで集客し、体験を提供した後に、ユーザーが本来のコストに対して妥当性を見いだせなければ意味がない。そういった意味では、ただ誰でも安く体験できますよという打ち出し方はNGだ。
つまり、本当に悩みを持っている人(=あなたの会社の見込み客)が、最初の一歩を踏み出すのを後押しするためのものでなければならず、インセンティブをただばらまくだけでは、見込み客になる確立が下がり非効率であるということだ。
3つの今すぐコンバージョンしてもらうための方法を説明したが、では、継続して購入してもらうためにはどのようにしたらよいのだろうか。
初回購入(あるいは体験)してもらったときの効果は非常に重要だ。結果が出るものかあるいは圧倒的に次のステップの期待感をあおるものでなければならない。
仮にそれが、初回無料体験であったとしても同じことである。
「無料だからここまで」といった感じで、ユーザーがあなたの会社の価値を十分に感じる前にサービスを切ることはもったいない。
無料だろうがなんだろうが、ユーザーにとってはそんなことは関係なく、一つの商品・サービスを見定めに来ているのだ。
ちなみにこの手で強いのがやはり美容系である。筆者もホワイトニングを初回格安で受けたが、初回からすこぶる結果が出てしまったので、虜になってしまった。他には最近よく見るのは、初回だけ異常に安い脱毛体験だ。筆者はやったことはないが、こういった美容系はそもそも悩みのレベルが深い上に、一度体験して結果が出ると虜になりやすいモデルだ。
その辺りがわかっているからの初回格安であろう。
初回から定価勝負であればなおさらである。
以上、Webで今すぐコンバージョンしてもらう3つの方法と、継続購入してもらうためのコツであった。
あなたの会社のWebサイトでどうやったらコンバージョンがあげられるのか、そのあとの成約や継続購入のためのロジックをもう一度考えてみてはいかがだろうか。