HubSpotは本社をアメリカに置く企業(HubSpot, Inc.)でマーケティングソフトウェア「HubSpot」を提供している。HubSpotのホームページでは製品紹介などをしているが、それとは別にHubSpotブログがあり、マーケティング系の記事を配信することでリード顧客のリストを獲得している。
リストの獲得方法としては、ブログに訪れた人にメルマガ登録を勧めるか、ブログを読んだ人に対して記事の最後で有益なPDF資料を個人情報と引き換えに提供するという方法である。
まずメルマガについてだが、メルマガは非常に簡単に登録できるようになっており、メールアドレスを入力するだけである。名前を入力する必要もない。たまにメルマガ登録である“仮登録後の正式登録作業”などの手間のかかるオプトインももちろんない。
ではPDF資料のダウンロードについてはどうだろうか。
まず注目したいのは、PDFの種類が豊富にあり、記事の種類で何のPDF資料をダウンロードしてもらうか棲み分けがされているということだ。どんなキーワードでそのブログにたどり着いたのかを考えると、ブログの記事ごとにターゲットの知りたいことや課題の詳細は異なると考えられる。ブログ全体のターゲットではなく、ブログ記事ごとのターゲットに向けたPDF資料を提供することで、リード獲得の精度をあげることができる。
そしてここではメルマガと異なり、かなり細かい情報を入れないとPDF資料をゲットできないようになっている。これによって確実にPDF資料のダウンロード数(リスト獲得数)は下がるが、リードの質は高くなる。興味本位や競合調査でのPDFダウンロードを抑制している。
こうしてターゲットを細かく棲み分けした上で、その人達に刺さる情報をPDFで提供することでリード顧客の満足度をあげているのが秀逸なところである。ではメルマガの方はどのような仕組みになっているのだろうか。
HubSpotメルマガに登録するとブログの更新通知やオファー(LPへの誘導)が届くようになる。ブログの更新通知では何が行われているかというと、ご想像の通りブログの更新一覧が届くのであるが、これは単純にブログを読んでもらうためではなくPDFダウンロードを催促しているのである。
先述した通り、メルマガの登録は非常に簡単でPDFのダウンロードは少し手間がかかる。リスト獲得ではメルマガ登録の方がはるかに多いであろう。PDFをダウンロードしてもらえなくてもメルマガでブログ更新通知を送り(週1でその週に更新されたブログ情報が届く)、その中から興味のあるブログをクリックしてもらい、ブログ記事下部にあるPDFをダウンロードしてもらうために個人情報を入力してもらう。メルマガ読者は漠然とした理由で登録していたが、更新通知から自分の興味関心のあるものを絞り込み、その記事内にあったPDF資料を得るために個人情報を入力することで、ただのメルマガ登録者から精度の高いリード顧客へと変身する。
PDFダウンロードしたリード顧客に対しては、もちろんダウンロードしたPDFの種類別にリスト管理され、それぞれ別の内容のメールが届くようになる。
このようにブログからPDFダウンロードによって精度の高いリード顧客を獲得する経路と、漠然とメルマガ登録をした後にブログ更新通知によって興味を棲み分けし、PDFダウンロードによって結果的に精度の高いリード顧客を獲得する経路の2種類を用意していることになる。
ブログからリストを取得するマーケティングが非常に優れているので見習いたい。