アイデアはいかにして生まれてくるのだろうか。
ゼロから何かを生み出すのは想像以上に難しいが、その必要はないだろう。基本的にはアイデアというのは既存のアイデアの組み合わせだ。
では良いアイデアを出すためには既存のアイデアをいかに活かすかというところにヒントがありそうだ。
ここでは、筆者が以前プロダクト系の新商品企画を長年やっていた経験から、アイデアの出し方を体系化したものをご紹介しよう。
まずあなたの感動体験をたくさん書き出そう。感動というと大げさだが、グッドアイデアだと思った身の回りの商品などでもよい。
たくさん書き出したいが、思い出せないという人はカテゴリーにわけて考えると出てきやすい。
例えば接客で感動したものは何だろうか?ありがちだが、ホテルのサービスや、飲食店での対応がでてきそうだ。その他、トラブル時の神対応など。
また、カテゴリーを家電とした場合は、もっとたくさんでてきそうだ。扉がどちらかでも開く冷蔵庫、吸引力が衰えない掃除機、ヘルシーな調理が可能な電子レンジなど。
このようにして感動したものごとをどんどん出して行く。本当に何でもいいだろう。
一通りアイデアを出し終わったら今度はその感動要素を突き止め、さらにそれを一般化していこう。
感動要素とはなぜ感動するのかを要素分解すること、それを一般化するというのはどの業界にでも転用できるようなレベルに落とし込むことである。
例えば身近な例でいうとスターバックスコーヒーはどこの店舗にいっても気持ちのよい接客をしてくれることで有名だ。
ではこの感動要素を突き止め、さらに一般化してみよう。
まず感動要素として1つは以下だろう。
どの店舗のスタッフも気さくで丁寧だ。この感動を一般化すると以下のようになるだろう。
次に感動要素の2つ目は以下だろう。
スターバックスコーヒーは積極的にサービスをしてくれる。気になっているコーヒーを試飲させてくれたり、迷っていると積極的に客に合わせた提案をしてくれる。こういったサービスは機械的ではないし、その場の担当者の臨機応変な対応がスマートで心地よい。
この感動を一般化すると以下のようになるだろう。
次に感動要素の3つ目は以下だろう。
この感動を一般化すると以下のようになるだろう。
このように感動要素を一般的なことにも転用できる要素にまで落とし込む。
そうするとそれを自社サービスや顧客との接点の場に適用するとどう応用できるかがわかってくる。
さて、ここまできたら後は感動を自社サービスに転用する作業だ。
一般化した感動体験は以下だ。
どこであっても一定のクオリティを提供するために、店舗型ビジネスであればスタッフの教育や採用基準の見直しができるかもしれないし、Web上でのサービスであればデバイスごとの特徴を活かした快適なサービス方法を検討するなど考えられるだろう。
臨機応変なサービス対応するためには、例えばお問合わせを電話やメールでのお問合わせではなく、チャット形式のお問合わせにすることでやりとりをスピーディーかつ柔軟にすることが考えられる。打合せの現場であれば、担当者の裁量の範囲を明確にしておくことで、臨機応変でスピーディーな対応を可能にし、顧客満足度をあげることができるだろう。
近すぎず遠すぎずの距離感をWebサイト上で表現するのであれば、親しみのあるキャラクターで接しつつも、どこかでプロフェッショナル感を演出し、憧れ感を失わないように一定の距離感を保つなど手段が考えられそうだ。
日頃から感動要素を分解することを習慣的にやろう。
身の回りの感動要素を自社の場合に置き換えるとどうなるか自然と考えられるようになる。
大切なのは、他の企業がやっていることでいいなと思ったことをそのまま転用するのではなく、自社の場合であればどうしたら同じような感動を与えられるかを考えることだ。そのために「なぜ感動するのかを要素分解」し感動要素を突き止める。
同じことをやれば同じ感動を与えられるというものでもない。“自社の場合はどうしたらよいのか”が重要である。
ぜひやってみていただきたい。