facebookやtwitterが出現する前までは口コミというのは自分の声が届く一定の範囲内でのものであった。もちろん、口コミはネット上にもすでにあったが、口コミを書く人は一部であったし、情報をネットを通じて共有するという文化はなかった。
それがfacebookやtwitterの出現により個人がメディア化され、SNSの中で意識せずとも皆が口コミをするようになった。特にfacebookは実名制であり、プロフィールも充実していて、個人がブランディングされやすい。それがゆえ、例えば「あの人は食通だから、この間あの人がシェアしていたお店は間違いないだろう」ということが普通に起こる。
twitterは、facebookより比較的、不特定多数の人と繋がることが多く、自分が興味のある業界の人を気軽にフォローすることができる。そして実名ではないことやいいね数を気にする文化もなく、ちょっとした小ネタだけども有益な情報をツイートしやすく、リツイートもしやすい。話題の情報はタイムリーに入ってくる。
このようにfacebookやtwitterが広まってからというもの、個人はメディア化してきた。
個人メディア一つ一つのパワーには限界があるがSNSで拡散されたときの力は半端ではない。コカ・コーラが行ったボトルに名前が入ったネームボトルのキャンペーンをご存知の方もおおいだろう。自分の名前が入っていると嬉しくてSNSでシェアする人がたくさんいた。
また、スタバは店員が紙コップにハッピーな気持ちにしてくれる絵を書いてくれるときがある。スマホでその絵の写真を撮り、SNSにアップされている様子は何度となく見たことがあるだろう。
個人のメディア化は、ユーザーの情報取得方法の変化でもあり、企業の一方的な情報発信による影響は確実に減衰してきている。企業は個人のメディア化の波に乗り、個人の口コミの中にうまく溶け込んでいかなければならない。
企業が個人のメディア化の流れを最大限利用しているマーケティング手法がある。インフルエンサーマーケティングだ。
個人の中でもメディアとして影響力のある人はインフルエンサーといわれる。インフルエンサーとは、人々の購買意欲に大きな影響を与える人のことを指していう。数十万〜数百万PVを稼ぐパワーブロガーもインフルエンサーといえるし、芸能人もインフルエンサーといえる。
インフルエンサーに情報をうまく拡散してもらうように仕掛けるインフルエンサーマーケティングを活用する企業は珍しくない。サントリーがインフルエンサーを集めてウィスキーの蒸留所ツアーを行い、それがハイボールブームに一役かったという例もある。
個人のメディア化に伴い、マーケティングの手法は変わってきた。しかし、弊社はより本質的に価値あるものだけが生き残る時代になってきたのではないかと考えている。企業の一方的な情報発信の時代は終わり、ユーザーからの評価がマーケティングに与える影響が無視できないほどに大きくなった。