いかにして選ばれるWebサイトはできあがるのだろうか。
Webサイトのコンテンツづくりという観点から解説していきたい。
ユーザーは興味があるからWebサイトに訪れるのだろうか。半分は正解だが、半分は嘘だ。
ユーザーのクリックをそこまで信用してはいけない。確かに興味があるからこそクリックしてWebサイトに訪れるのだが、大抵の場合そこまでは興味がない。なんとなくクリックをすることがほとんであると認識しているべきだろう。
だからこそ、Webサイト運営側としては、その少しの興味をいかに増幅させるかを考えなければならない。訪れたユーザーがすぐに離脱するのは「ユーザーがそもそもそこまで興味をもっていないことに加えて運営側が大した情報を提供できていない」という2つの掛け算によるところが原因だろう。
自分にとって必要な情報かどうかを選別するのに時間はかけない。例えば、インターネットで調べたいキーワードを検索して出てきた検索結果からどれをクリックするかには数秒程度しか時間はかけないし、クリックしたあとに表示されるページを見て続きを読むかどうかの判断も瞬時にする。
目の前にある情報が自分にとって役に立つかどうかだけを考えている。だから瞬時に伝わるようにストレートに訴求しなければならない。
ここまでで、Webサイトのよいコンテンツとは「ユーザーの興味を瞬時に増幅させられるコンテンツ」であるといえるだろう。ではそんなコンテンツをどのようにして作っていくべきなのだろうか。手順を紹介したい。
まずはWebサイトで訴求すべきコンテンツを洗い出しサイトマップをつくろう。ポイントはどんな情報がユーザーにとって役に立つのかを考えることだ。自分の頭で考えるのには限界があるから、複数人で考えるのもよしだし、手っ取り早いのは競合サイトを10〜20サイトぐらい見て、どんなコンテンツがあるのかを片っ端から書き出すことだ。
その中で自社で必要なコンテンツだけ残していこう。
それからもちろん独自のコンテンツを考えることにも頭を使おう。自社ならではの強みがあるはずだ。それをコンテンツに落とし込まない手はない。
ユーザーは次から次へとWebサイトを遷移していき、最終的に気になったいくつかを残して、最終検討段階に入るだろう。まずそこまで残れるかどうかもそうだが、残ったあとに他社と比較してどんな強みを持っているのかが命運をわける。
また、このような自社ならではの強みは価格競争から脱する一手にもなるだろう。
サイトマップができあがったら各コンテンツに入れる情報の詳細を書き出していこう。コンテンツ内で訴求する項目や詳細な文章を書いていく。例えば、サービスを訴求するコンテンツページであれば、サービス概要や特徴、料金体系、サービス全体の流れなど項目を書き出し、それぞれについて文章を書いていく。
デザインは後からで構わない。先にコンテンツを固めた上でデザインをやる方が効率的であるし、出戻りも少ない。また、文章だけではわかりづらかったり、文章を補完する画像を挿入できる場合は、それも検討しよう。
コンテンツを作るときはどうしても情熱的になるがあまり、文章が長くなりすぎたり、ユーザーにとって不要なことを書いてしまったりする。後日見直して不要なところを削り、スリム化しよう。
このとき、コンテンツの役割をしっかりと認識していることが重要だ。例えば、「サービスに興味をもってもらう役割」や「会社を信用してもらう役割」など、コンテンツごとにユーザーにどんな影響を与える役割かを認識する。そしてシンプルに、どうしたらその役割を果たせるのかを考えよう。
そうやって見直してみると情熱的に勢いで作ったコンテンツには無駄があることに気づくことも多い。できるだけスリムなコンテンツにし、何を伝えたいのかをはっきりとさせよう。
コンテンツの内容が全体的に完成したら、今度はデザインをして魅力的な見栄えにしていこう。デザインはメリハリと見やすさを意識するとよい。コンテンツを見たユーザーは一瞬でこの先読み進めるか、離脱するかを判断する。一瞬で「自分にとって役に立つ」と思ってもらえることが重要だから、そのために何を強調すべきなのか、どういうレイアウトで配置するのがよいのかを考えよう。
いくらよいコンテンツであっても一瞬で判断できないもの、見にくくて読み進める気にならないものはそれだけで離脱対象になる。
デザインも終わり、Webサイトコンテンツができあがったら、客観的に俯瞰しよう。それはユーザーにとってわかりやすい表現だろうか?スムーズに読み進めることができる構成になっているだろうか?
知識がある人と知識がない人とでは当然基準が違う。知識がある人が知識がない人向けに書く文章は「これはわかっているだろう」や「これで伝わるだろう」という憶測が盛り込まれていることがよくある。
ユーザーレベルから見ても理解できるようなコンテンツになっているか、伝わるものになっているか憶測を排除して徹底的に見直そう。
Webサイトは社内資料でもなんでもなく、ユーザーに伝えるためのもので公にしているものだ。どんな気持ちで見られているのか(最初から興味深く見られることはないだろう)、どんなタイミングで見られるのか、提示している情報は誰でも理解できるものになっているか、あらゆる面で気を遣おう。