Webサイトは、ターゲットに価値を適切に伝えることで、ターゲットに行動してもらう必要がある。そのためにはターゲットに自分ごととしてサイトを見てもらえるようなフックが必要である。
フックとはターゲットに興味を持ってもらい、ちょっと見てみようと思わせるような仕掛けとなるパーツである。業界では一般的にCTA(Call To Action/コール トゥ アクション)と言われている。
認知活動の成果あって、ターゲットにWebサイトに訪問してもらった後に、様々なコンテンツを閲覧してもらうために必要なものがフックである。
ターゲットはWebサイトに訪れてから一瞬でそのWebサイトが自分にとって必要かどうかを判断する。不要だと感じたら他のサイトへすぐに移ってしまう。
リアル店舗の場合はとりあえず1周してもらえるかもしれないが、Webは数秒で判断され、なんの遠慮もなく立ち去られる。そして、1つ前の画面(検索結果画面)に戻れば他のWebサイトがずらりと並んでいる。
そのためまずはページに遷移したところでフックが必要になる。
Webサイトは、◯◯さんに、(Webサイトで)□□を伝え、その結果△△してもらうためにある。
つまり戦略的にWebサイトをつくるために、以下のような情報が必要となるだろう。
◯◯はターゲット、□□はターゲットにとってのメリット、△△はWebサイトの目的(お問合せや資料ダウンロード)となる。細かく見ていこう。
ターゲットにとって一番刺さるメリットとは何かを考えよう。ターゲットはまずはメリットに反応する。そのため、想いだけで突っ走って作ったコンテンツやフックではターゲットには刺さらないだろう。共感よりもまずはメリットを先出しすることを考えながらフックを考えていこう。
メリットにも様々あるだろう。
メリットは1つである必要はないが、何を一番推すかは決めておいた方がよい。わかりやすく言えば、プロダクトなどの商材は機能・性能などスペックの高さを売りにしたものと低価格帯を売りにしたものとでわかれることが多いが、どちらを強く推すかは決めておくのがよい。
金銭的メリットは低価格であることやコストパフォーマンスの高さなどである。コストメリットがあると思えばとりあえずどんなものかその先詳しい情報を見たくなるものだ。ものによっては金銭的メリットを出すことが安っぽく見えてしまうなどのマイナスな印象を与えることもあるので注意されたい。
機能や性能は具体的に数値で表現できるとよい。また、機能美という言葉があるようにハイスペック製品ならではの美しさというのもある。Webサイトでのデザインの見せ方も機能や性能の信頼性を高める要素になる。ハイスペック商品を探しているユーザーがもっと詳しく知りたいと思えるようなフックを作ろう。
精神的メリットというのは、ターゲットが憧れやプライドに対してお金を出すような商品に対して考えられる。例えば車の例でいうと、単なる移動手段と考えている人は必要な人数が乗れるエコな車があればよいが、高級車を購入する人は移動手段よりは趣味嗜好の要素が強く、そのブランドに対して憧れを持っている。
Webサイトにおける写真の見せ方やキャッチコピーで車に対する憧れの気持ちを刺激できるようなフックが作れるとその先のコンテンツを見てもらいやすくなる。
冒頭に書いた通り、Webサイトは閲覧して数秒で自分にとって必要そうかどうかをユーザーは判断する。皆さんも数秒でWebサイトを離脱することがよくあると思う。
そのときにフックが有効であるのだが、フックはどうデザインされるべきだろうか。
ファーストビューというのは、Webサイトを開いてスクロールせずに閲覧できる範囲のことをいう。もちろんモニターによってファーストビューは異なるのだが、おおよそヘッダー周りは表示されるため、ヘッダーで何を訴求するかは、そのWebサイトの第一印象として極めて重要であり、その後のユーザーの行動(スクロールorクリックするのか離脱するのか)に影響を与える。
ファーストビューには特に重要なフックを入れよう。
伝えたいことがたくさんあるはずだが、たった1つの重要なことを伝えよう。いくつかメリットを訴求しても構わないが、重要なことが何なのかをハッキリとさせておくことで、初見で輪郭がはっきりする。
デザイナー目線で考えても3つの重要なことよりも1つの重要なことの方が、フックとして効果的な尖ったデザインを作りやすくなる。
フックのデザインは、写真かもしれないし、グラフかもしれないし、文章のみかもしれない。それは商品によって異なるが、大きくデザインを2分すると論理推しか情動推しかにわけることができる。
数字などを使って論理的に攻める方がターゲットに刺さる場合と、美しい画像などを使って情動的に攻める方が刺さる場合がある。これは最初に設定したターゲット、それに基づいて作られたサイトコンセプトに立ち戻れば判断できるだろう。
もちろん美しい写真にキャッチコピーとして論理的な訴求を入れることもできるが、これもどちらを推すのかでバランスがまるで変わってくる。
フックはWebサイトが自分にとって必要だとターゲットに思ってもらうためのものである。
次のコンテンツに遷移してもらうためのトリガーでもあり、ただの認知(とりあえずサイトに訪れた状態)から興味関心を深めるための第一歩なので、何をフックにするのか、ターゲット設定やサイトコンセプトに立ち返って検討されたい。