ホームページを作る上で、ターゲットがどのような不安を抱えているかを理解し、どの様な手段でそれを解決するか考えることは重要である。すんなりコンバージョンせずに離脱されてしまうのは、どうしても不安が払拭できないからである。本当は「今すぐ決断する必要性がないから」という理由もあるのだが、ここではその議論はおいておき、どうしたらターゲットの不安を払拭し、コンバージョン率をあげることができるかを説明していきたい。
ホームページ制作を検討している企業の話を聞くと、ターゲットがどのような購買フローで商品を購入するかをもっと深く検討した方がよいと思われることもある。商品を提供している企業からすれば当然商品のことを熟知しているだけでなく、企業や商品の信頼性、利用シーンや効果性、はたまた配送方法や納期感、契約後のアフターフォロー体制など、すべてをわかっているし、何の疑問もない。
しかし、ターゲットにとっては未知のことばかりである。ホームページでそれらのターゲットの悩みを解決できることを提示しつつ、成約までの不安を払拭していかなければならない。そしてターゲットは非常に繊細で、購買意識が高まれば高まるほど細かいところが気になってくる。決断をせまられれば迫られるほど、慎重になるのは誰しも経験があるのではないだろうか。
矛盾するようだが、ホームページの目的はターゲットに洗いざらい情報を提供し、すべてを知ってもらうことではない。必要なのはターゲットが必要としている情報を提供すること、そして決断を阻害する不安を払拭する情報を提供することである。これが繊細なターゲットを説得し、コンバージョンへと導くホームページを作るために心得ておきたいことだと弊社は考えている。
最終的にはホームページには洗いざらい情報が掲載されるケースも多いのだが、ここで言いたいのは、ターゲットの導線に合わせて適切な情報を配置することで、ターゲットが欲しいと思ったときに欲しい情報を提供できる流れを考えておくことの大切さである。
この「欲しいと思ったときに欲しい情報を提供できる流れ」はターゲットがホームページに訪れてから、商品の購入に至るまでの購買フローを1つのストーリーとして考えてみると整理しやすい。このストーリーとは何か?例えばこのように考えてみる。
ターゲットは任意のキーワードで検索しホームページに訪れた。そして、まずは自分に手が届くものなのか商品の価格を確認する。予算の範囲内であることを確認したターゲットは、次に性能や質について調べようとする。性能や質が問題ないことを確認するも、それが本当のことなのかいまいち不安が残るため、実績コンテンツや性能を証明する論証コンテンツを確認し、ある程度腑に落ちる。いよいよ購買意欲が高まってきてコンバージョン射程圏内となるが、ユーザーの声を聞くため“利用ユーザーの声”なるコンテンツを確認する。しかし、そこで疑問が残ってしまった。利用ユーザーの声によると確かに評判は高いが、評価内容に偏りがあった。商品の特徴としてABCの3つの特徴があり、ターゲットにとっては、特徴Bが魅力的であったのだが、利用ユーザーの声は皆特徴Aを高く評価していた。ターゲットにとって欠かせない特徴Bへの不安が残り、本当にそれが自分にとって必要かどうか迷い始めた。今すぐ買わなければならない理由もなかったのでターゲットはその場を立ち去ってしまった。
このケースでは、コンテンツは豊富にそろっていて、何の問題もなかったように思えるが、最終的に自分に必要な特徴Bの良さを客観的に証明することができず、迷いを生んでしまった。利用ユーザーの声に偏りがあったことで一定数のコンバージョンを失ってしまうことが考えられるケースである。
このようにストーリーを考えてみることは、ホームページのコンテンツの不足や、全体の流れの問題を見つけることに役立つ。もちろんストーリーは1つだけではないので、いくつか考えてみながら最適なホームページ構成になっているかチェックしてみよう。