ホームページリニューアルで、ユーザーインターフェースを全体的に見直すことはよくある。ユーザーインターフェースといっても幅が広いが、ここでは機能的なユーザーインターフェース、つまり、クリックやフォームの入力などユーザーの何かしらのアクションに関わる部分について、主にユーザーインターフェースと表現しながら、表題の件を説明したい。
ユーザーインターフェースを改善し、特定のボタンのクリック率をあげたり、お問合せフォームの送信率をあげたりすることは、ホームページのコンバージョンをあげる上で非常に重要な施策である。ボタンははっきりボタンだとわかることが大切であるし、押したくなるようなギミックのボタンも効果的である。フォームはデザインや挙動によって入力をしたくなるようなものがよいし、必須項目とそうでないものがはっきりわかるものがよい。もちろんこういった挙動をPC・スマホ両方において実現していく必要もある。しかしこういった施策に対して、こんな懐疑的な声もちらほら聞こえてくる。
「本当にそんな小手先のことでコンバージョンが改善できるのか?」「問合せする人はそんな細かいところまでインターフェースを最適化しなくても問合せするのでは?」「単なるデザイナーのこだわりでは?」
気にしていることはあながち間違っていないというか、基本的には小手先のテクニックは最後の詰めなわけで、基本的にはコンテンツの質をあげていくことが重要である。ただ、やはり小手先のテクニックも必要なのである。
例えば、同系の商品を取り扱う企業A、B、Cの3つがあったとしよう。今とあるユーザーはこの3つのどこで買うか検討を始めている。企業Aのホームページは非常にユーザーインターフェースが悪い。企業B、Cはどちらもユーザーインターフェースに優れているとしよう。
それぞれのホームページを見たこのユーザーは、企業Aの商品がまさに自分に必要な商品であると感じ、企業BとCの商品についてはAにはかなわないという結論に達した。さてこの場合、ユーザーはユーザーインターフェースの悪い企業Aから申込みをするだろか。
おそらくするだろう。企業Aが良いと確信している今、多少のインターフェースの悪さは耐えるに値するはずだ。しかし、これは企業Aに強く魅力を感じていたからに過ぎない。(もっとも、企業Aのユーザーインターフェースがとんでもなく悪ければ検討されるまでもなく離脱される可能性はある。)
これが、企業A、B、Cどれも甲乙つけがたい状態であったらどうだろうか?ユーザーインターフェースの悪い企業Aは優先順位の最下位になるだろう。どの企業の商品か迷っているとき、ユーザーインターフェースの差で勝敗が決まることは十分にありえる。
また、そもそもあまり比較検討されない商品の場合もインターフェースの差がコンバージョンに影響しやすいだろう。どれも同じような商品だと最初からわかっていたり、値段が安かったり、まずはお問合せだけしてみるといった、アクションのハードルが低く、他とそんなに比較検討されない商品だ。これらのものは十分に比較検討がされず、今見ているサイトで素早く購入や申込みを終わらせてしまいたいと思うだろう。その場合、ユーザーインターフェースが悪いサイトは面倒だと感じられ、別のサイトに遷移、そこですぐさまコンバージョンするだろう。
最後に、ユーザーインターフェースが最も重要な影響を及ぼすのは、ECサイトやサービスサイトである。これらのサイトではホームページよりも圧倒的な操作をユーザーは強いられる。ECサイトであれば、検索をして、カートに入れ、数量を変更したり削除したりして、合計金額を確認し、お届け先や名前等の情報を入力、そして決済情報を入力した後、最終確認をし、購入確定ボタンを押し、購入完了画面を確認するといった流れである。
もしECサイトやサービスサイトでユーザーインターフェースが悪ければ、ユーザーは他の類似サイトを利用するようになり、そうなればそのサイトは二度と使われないサイトになるだろう。
ユーザーが操作を必要とするようなサイトであれば、どんなWebサイトであってもユーザーインターフェースは突き詰めておくに越したことはない。予算や工数の関係であまりリッチにできない場合は、本記事を参考に自社サイトの場合、ユーザーインターフェースの効果の重要性をどう捉えるかを検討していただきたい。