広報担当は企業とユーザーの接点を作る重要な役割を担っている。単純に広告を打ったり、facebookページを更新していればいいとうものでもない。
本記事は広報の役割を明確にした上で、Webをどのように活かしていけばよいかを書いている。広報担当としてWebとどう向き合うべきか悩んでいる方にぜひ読んでいただきたい。
広報の仕事とは、企業とユーザーの接点の機会と質を最大化することであろう。接点の機会とは言葉の意味そのままで、どれだけの人数、どれだけの回数接触できるかである。接点の質というのは、ただ接触するだけではなく、そのことによってユーザーがアクションをどれだけしてくれるかである。
広告をうつのであれば、いかに多くの人に接触できるかだけでなく、その先どれだけお問い合わせなど、目標とするアクションに繋がるかが重要だということだ。
企業とユーザーの接点の機会と質を最大化するためのツールや手法はいくらでもある。あなたの会社の中にノウハウとしてストックされていなくてもネットで検索すれば山のように情報が出てくるだろう。そう、ツールと手法はすでに揃っているのだ。
しかし広報担当としての腕の見せ所は、どのツールをどのように利用して接点の機会と質の最大化を図るかである。特に手腕が問われるのは、機会の質を最大化するところだ。
だから広報担当者は選ぶツールを間違えてはいけないし、ツールの使い方を間違えてはいけない。逆にいうと目新しいことをやる必要はないだろう。適切にツールを選択し、適切な使い方を実践することで広報担当者としての重要な役割は達成できる。
広報担当者が目指すべきところは、下図のように、仕掛けたプロモーションによってターゲットの購買意欲レベルを1段2段と上にあげていくことだ。こういった施策が機会の質を最大化していく。
例えば広告を打ったとしよう。広告が認知されるのは当たり前だが、広告を認知した後にターゲットが興味をもってその広告をクリックし、その先のコンテンツを興味をもって読み進めてくれるかどうかが重要だ。
広告で認知されることが目的ではなく、その先にユーザーが自ら動いてくれるところまで持っていくのが質の高い広報というものだと弊社は考えている。
当たり前のこと…といえば当たり前のことだが、これが基本なのでこれに徹するようにどのような広報活動をするかを考えよう。意外と広告クリック率や広告単価ばかりに目がいってしまい、本質を見失っていることも多い。それに重要なのはユーザーが自ら動いてくれるところまで持っていけるかどうかである。
結局ホームページなど目標とするところにとりあえず誘導したはいいが、そこで何のアクションもされず、記憶にも残らず、、では意味がない。
人は価値のあるものは自ら追う。価値がないと判断しているもの、価値がわからないものに対しては、自ら追うことはしない。強制でもされない限りは…。だからターゲットが追いかけたくなるような価値を訴求していかなければならない。
それはターゲットに対してコミットをする精神がポイントになる。
例えば「準備期間1ヶ月!月100万稼げるようになるための5つの方法」というバナーを作ってリンクを貼っておけば、稼ぎたい人はクリックするだろう。しかし、この文言を書ける人はなかなかいない。なぜなら書く以上はコミットしなければならないからだ。そしてもちろん、中身が伴っていなければクリックしたところですぐに離脱、あなたへの印象も悪くなってしまうだろう。
ターゲットにクリックしてもらえそうな文言はちょっと勉強すれば色々アイデアが出るものだが、肝心なのはその中身であり、ユーザーはクリックした先の情報を数十秒間見てその質を判断し、読み進めるか離脱するかを決めるだろう。
「価値にコミットして良質なコンテンツを提供する」ということを大前提に、さらにどういう価値の伝え方がよりターゲットを自主的な行動へと突き動かすのかを考えてみよう。
価値の伝え方の要素は以下の4つある。
・誰から伝えられるのか?
・どんな形で伝えられるのか?
・どんなタイミングで伝えられるのか?
・伝えるのにどのくらいの時間をかけるのか?
誰から伝えられるかでどれだけ耳を傾けてもらえるかが変わる。単純に広告を流すだけではなく、ブロガーや他社とのタイアップ企画などによって、価値の発信元を自社から少しずらすテクニックがある。自社で自己発信するよりも周りから発信されている方が信頼される傾向がある。
広告を使う方法もあれば、SNSで発信する方法もある。facebook、twitter、Instagramではそれぞれ特徴が異なるので、価値の伝え方として最適なものを選択し、ターゲットが自然と読み進めてくれるように促したい。
これについては下記の記事の「4.ファンマーケティングにおけるツール」に書いてあるので参考にしていただきたい。
また、記事で伝える方法以外にも、動画で伝える方法もある。最適な伝達方法を選択しよう。
ユーザーはPCだけではなくスマホからも常に情報を取得している。通勤時間帯にスマホをチェックしている人は多いし、退社時間帯も同じだ。また昼休憩のときにパソコンでネットサーフィンをしている人は非常に多い。
情報を流すタイミングが悪ければ、精読率(記事をどれだけ読んだか)は下がる。
通勤などのちょっとした移動時間中に読んでもらうものであれば短めの方がよい。2分で読めるものなのか、5分かかるものなのか、どのくらいの時間ならターゲットが時間を確保してくれそうか検討しよう。
良いものも伝え方によってはターゲットを動かすことも、離脱させてしまうこともある。
また、考えておきたいのは、「どこにでもあるような価値」はターゲットにとって価値あるものであっても、「またあとで…」になり兼ねないということだ。ターゲットを逃さないためにも「この機会を逃したらこの情報はもう得られないかもしれない」という今見ておくことに意味がある見せ方も検討するとよい。
ちなみに筆者が見た広告でなるほどと思った例をご紹介させていただく。
広告をクリックすると商品訴求ページに飛ぶのだが、そのページ内では商品が割引されている。面白いのは、広告をクリックしてからでないとこの割引ページにはいけないロジックで、単純に検索して商品ページにたどり着いても割引にならないという点だ。これはその場で買う大きな意味を与えている。
これは少しテクニカルな話にそれてしまったが、ターゲットに自主的に動いてもらうために、どのような価値をどのように伝えるべきかを考えてみよう。
ユーザーの情報取得手段が多用になっている現在、広報担当者も様々な仕掛けを打とうと必死になるだろうし、それだけ仕事も大変になるだろう。しかし、ユーザーファーストな考え方で、「企業とユーザーの接点の機会と質の最大化」と向き合うことで、やるべきことが明確に定まるだろう。