経済産業省による平成28年度の電子商取引実態調査によると、日本国内でのEC市場(BtoC向け)が 15 兆円を突破という。
これは前年の13.7兆円を大きく上回る数値で、さらに6年前のほぼ倍の数値である。
出典:経済産業省(http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/h28release.pdf)
ECの市場は伸び続けており、それに伴いECサイトも手軽に始められるような環境が整ってきた。現状、ECサイトを始める場合は、大きくやり方が3つあるといえる。
モール型
レンタルショップ型
独自開発型
である。
ECサイトを始めようという人は、どのように手をつけていくべきか悩ましいだろう。それぞれのメリット・デメリットを理解することと、自社サイトの影響力などの現状を整理することで、3つあるうちのどの手段を選択すべきかが見えてくる。
まずはそれぞれのメリット・デメリットを見ていこう。
楽天ショップやYahooショッピングなどがこれにあたる。モールに出店する形で、モール自体の集客力が抜群にあるのでその点が魅力的だ。しかし中間マージンが高いため利益率は悪くなる。また、完全に他社サイトに依存していることになるので、自社要因以外で利益が変動する可能性がある。
将来性としては自社サイトを育てているわけではないので拡張性はなくブランディングも難しい。
カラーミーショップやショップサーブなどがこれにあたる。モール出店ではなく、路面店を出すイメージでECサイトの機能だけをレンタルしている。独自ドメインで運用することも可能。
ECサイトの機能をレンタルしているので諸々手数料は取られるがモール型と比較して利益率は高い。ただモールのように人が集まる場所にショップをオープンできるわけではないので、集客は自力でやる必要がある。(レンタルショッピング型にもモールはあるが、楽天ショップやYahooショッピングと比較して圧倒的に集客力は劣る)
また、ECサイトの機能をレンタルしているという意味では、他社サイトに依存しているのはモール型と同じであり、自社要因以外で利益が変動する可能性がある。一方で独自ドメインでの運用が可能(つまり自社サイトとしてECサイトを運用可能)なので、ブランディングをして育てていくことができる。
自社サイトに独自でECサイトを構築するパターン。初期費用が圧倒的に高いが、システム使用料など中間マージンがない(クレカ決裁手数料などはかかる)ので利益率が非常に高い。
また、自由に開発できるので仕様の自由度が圧倒的に高く、無駄な機能を省き、必要な機能を取り入れることができる。例えばカートに入れている金額が大きい場合は、関連商品に表示させる商品は金額の大きいものを表示させるなど、自由な設計が可能であり魅力的だ。(1万円の商品はそれ単体では高く見えても20万円の商品と抱合せでは安く見える…そういう戦略をフレキシブルに打つことができる)
それだけではない。DB(データベース)設計からやるので、購入者情報を管理しマーケティングに活かすことができる。その点で、自社サイトを成長させていくための戦略的な動きをとることができる。
では実際に選定する際のポイントはなんだろうか。モール型もレンタルショップ型もプランが多様であるし、独自開発も制作会社によって費用感はばらばらだ。(あくまでも目安だが独自開発は200万以上かかるだろう。)
初期費用やランニング費用を考えることはもちろん、将来的な拡張性も含めて手段を選ぶ必要がある。しかし、それだけではなく現状の自社サイトの影響力も考える必要がある。
自社サイトの影響力とはアクセス数やブランドの確立度合いのことだ。アクセスがなければECサイトを独自ドメインで作ったところで当然売れないが、アクセスがあったとしてもブランドが確立されていなければ売れない。
逆にブランドが確立されていなくてもモールであれば売れる(価格競争にはなりやすいが)。自社サイトの影響力がなければまずはモール出店から初め、自社サイトが育った時点でモールを卒業して自社サイトにECサイトを構築することも考えたい。
今どこでモノを売り出したら売れるだろうか?
将来的にはどこでモノを売っていきたいのだろうか?
その時に初期費用やランニング費用を確実にペイすることはもちろん、より大きな利益をあげていくためにはどうしたらよいだろうか?
そのあたりをしっかりと整理することで、ECサイトを立ち上げた後に取り組むべきことも見つかるだろう。
何をやるにしてもそうだろうが、勝つところは勝つという仕組みができている。売れないところはモールに出店しても売れない。売れているECサイトがなぜ売れているのか、なぜユーザーはそこで買うのか(買わなければならないのか)を研究してみよう。