Webサイトでもチラシでもそうだが、妙に説得力のあるものにはイラストが使われていることも多い。
イラストには人を説得する力がある。
形のないものや抽象的なものは、見た人の想像力に頼る部分も大きい。イラストは見る側のイメージを補正し、正しい認識をしてもらう役割も担っている。
本記事ではそのイラストの力を最大限効果的に使うための考え方について触れていくことにしよう。
当然だが、イラストよりも写真がよいものは写真を採用しよう。レストランのメニューは当然イラストよりも写真の方がいいし、建築事務所が建物のイラストを掲載することはない。
イラストは写真では表現できないものや、写真には写せないものを表現したいときに効果を発揮する。
例えば「キラキラ」「ピカピカ」などは写真で表現することが難しいこともある。食器用洗剤のパッケージはイラストであるものがほとんどだが、透明感やキュキュッと感をイラストで表現していることがわかる。この清潔感は中々写真では伝わらないだろう。
食器用洗剤の例で、なぜ写真はイラストより清潔感を伝えることが難しいのか?
食器用洗剤で綺麗になった皿の写真をパッケージにしたところで、「綺麗なお皿」は表現できても、洗浄力を連想させるには難しい。なぜなら「お皿は綺麗」はデフォルトだからだ。綺麗なお皿の写真をみて洗浄力がすごいという連想は難しい。パッと見の印象が重要なパッケージングにおいては、洗浄力をイメージさせるにはイラストが一番なのではないだろうか。
イラストは人の連想力とセットになったとき、最大の効果を発揮する。
また写真にはときに不要な情報が含まれることがある。
例えば自動車の電子部品の配線方法のマニュアルには写真を使うべきだろうか、イラストを使うべきだろうか。筆者はイラストをおすすめする。実際自動車の電子部品の配線マニュアルはイラストである。
イラストはマニュアルに関係のない配線を消し、よくわからない複雑な形状を簡略化して誰が見てもスッキリわかるようにすることができる。
つまり、イラストは不要な情報を排除し、必要な情報だけを見せることができる。
Photoshopで写真を過度に加工した見せ方は誇大広告になりかねないが、イラストはあくまでもイメージの世界であるので、やり過ぎということはない。(もちろん倫理的な境界線はあるが)あなたの商品がイラスト向きであるなら、ユーザーの連想力を最大限引き出すイラストを使って訴求をしよう。
イラストには信じさせる力がある。
なぜイラストで信じてもらうことができるのだろうか?
それは「人は自分が信じたいことを信じる」傾向にあることが関係している。
あなたにも思い当たる節はないだろうか。
「これはいい」と直感で感じたものに「ちょっとしたほころびや欠点」を見つけてしまったとき、人は「いや、これは絶対にいいはずだ」と信じようとする。
話が少しそれるが、そう考えると、先に欠点を見せるよりもユーザーにとっての魅力を先に提示することの方がよいことがわかる。実際、マーケティングにおいてデメリットから入ることはまずない。どう考えてもメリットとしかないようなところからスタートし、まずは「これは良いものだ」と信じてもらうことから始まる。そしてページ後半で欠点についていくつかのことを知るときには、「いや、それでもこれはいいはずだ」となるのだ。
話が少しそれたが、イラストがなぜ信用を得ることができるのか。それはイラストには「人の願望達成イメージを視覚的に見せる効果」があるからである。
「弊社サービスにご登録いただくだけで、毎月途切れることなく案件が舞い込んできます」というようなキャッチコピーの隣に、案件がなくて困っている経営者と案件に困らない経営者の比較イラストが掲載されていたら、キャッチコピーだけよりもはるかにそのサービスを使ったときのイメージが湧き、案件に困っている人はそれを「信じたい」と思うだろう。
イラストによって「信じたい」力を増幅させることができ、それが結果的に信じてもらうことに繋がる。
写真がないからイラストを使うというケースをたまに見かけるがそれは間違っている。
写真には写真の役割、イラストにはイラストの役割があり、それを適切に使うことで、ユーザーとの接点をより効果的なものにすることができる。