よくビジネス戦略でユーザーの囲い込みをしようというが、近年のウェブの動向を見ていると、企業がユーザーをあつめて囲い込みをしていくというよりは、ユーザーが勝手にコミュニティを作っていくというスタイルが目立つ。
その辺りはかなり複雑に入り組んでいるように思えるのだが、企業がユーザーに場所だけを提供してその中でユーザーが勝手にコニュニティを創造していく場合もあれば、企業が想定していない場所でコミュニティが出来上がることもあるし、従来のような形で企業先導型の囲い込みの場(コミュニティというよりはユーザーが受動的に情報を受取ったり、企業とユーザーが1:1の関係性だったりする)もある。
大きく変わったのは、企業が制御できないところでユーザー同士が頻繁に情報を交換し、そしてその中で商品・サービスが評価されているということだ。
そしてそんな中でブランドも成長していかなければならない。良いことも悪いことも勝手に広がるこの状況は、後から企業が制御できる範疇ではない。
会員登録やライセンス発行などによるユーザーの囲い込みは依然として強力だが、企業が囲い込んでいるところ以外でもユーザーの活動は活発である。単なる会員登録やライセンス発行は物理的な制約による引き止め効果でしかないということだ。
中長期的な見解からすると、企業はいかに企業が関与していない場所でユーザーコミュニティの場に登場させてもらえるかを考えて戦略を打っていく必要があるだろう。
そしてそれにはごく自然なアプローチが求められる。生徒が盛り上がっている教室に先生がズカズカと入っていってはいけないのだ。あくまでも生徒たちが「ここは自分たちのコミュニティである」という概念を壊してならない。
そういった意味では、Webサイトで発信した情報がどのようにしてユーザーをめぐりめぐるのか、そもそもめぐりめぐるような情報を発信できているのかを考える必要もある。
ユーザーの囲い込みを中心にWeb戦略をうつ時代は終焉を迎え、ユーザー先導型のWeb戦略をうつ時代へと突入していることをWeb担当者はよく理解しておかなければならない。