Webサイトで大切なことは、ユーザーの行動に寄り添い、適切で良質なコンテンツを提供するということだ。良質なコンテンツというのは当然のことだが、ユーザーの行動に寄り添うというのは、意外できていないケースも多いだろう。
本記事では「ユーザーの行動に寄り添う」をポイントにWeb運用者としてのWebのあり方の本質について考えてみよう。
ユーザーがどんな媒体を通して、あなたの会社と接点を持つかを考えてみよう。
例えば普通に検索エンジンからWebサイトに訪れてくるのか、あるいはSNSでシェアされた情報からWebサイトにくるのか、はたまたあなたの会社のfacebookページで情報収集をして商品やサービスに興味を持つのか、様々な媒体を通してあなたの会社とユーザーが繋がる可能性がある。
そして媒体は常にユーザーの行動に寄り添った形でその見せ方やアプローチの仕方を進化させている。SNSは様々なものが出てくるし、検索エンジンのあり方も昔とは変わった。Webサイトの表現技術も様々であるし、動画も身近な存在になった。
様々な媒体が存在する中でコーポレートサイトと他のどんなWeb媒体を連携させるかは、情報を提供する側として、ユーザーの行動目線で考えるべき重要なことである。
人は情報を元に行動をする。何かやるときに、闇雲にやるのではなく、有用な情報を探し、何をどうすべきかを調べる。そして媒体によって情報の届け方は変わる。文章がメインのものもあれば写真がメインのものもある。
情報源がWebが主流になった今、Web上にあるそれぞれの媒体のうち、どれを使って何をどのようにユーザーに届けるのか、選択肢は増えた一方で選択を間違っていることも少なくない。
またそういった媒体だけではなく、どんなデバイスを通して繋がるかも考えなければならない。デバイスはPC・スマホ・タブレットなど様々である。PCユーザーとスマホユーザーとでは環境や状況にかなり違いがある。PCユーザーは大きな画面でたくさんの情報を一気にみることができるが、移動中に使うには不便だ。
スマホは一気にたくさんの情報量は見ることができないが、移動中の5分とか10分で手軽に情報を見ることができる。逆にいうと見るのに30分かかる情報はスマホユーザーとしては最適ではないともいえる。
Webが主流になっている背景としては、世界中にネットワークが繋がり、インターネットさえ繋がっていればどこからでも情報にアクセスができること、リアルタイムで情報を配信できること、簡単に検索して瞬時に欲しい情報にアクセスできることが大きいわけだが、逆にいうとそのインターネットを使っている人の状況や環境は多岐に渡るということだ。
その意味で一般的によく使われるAIDMAやAISASのような消費行動モデルだけではユーザーの行動分析が不十分になってきた。ユーザーがいる環境・状況や心理的な部分まで踏まえて消費行動を見るカスタマージャーニーマップがWeb業界で主流になってきた背景にはこういったことがあげられる。
カスタマージャーニーマップについては「Webサイト製作の現場でよく使われる基本的なワードの意味」で説明しているので以下に転記する。
PCで情報を取得しているのか、スマホで取得しているのか、はたまたテレビで取得しているのかなど、様々なチャンネルやその状況ごとにわけて分析することで、より現代人の行動に沿った形で課題を突き詰め、戦略を練ることができるモデルだ。
ただこのような消費行動モデルは近年のインフルエンサーという概念によってシンプル化されていることも事実である。
インフルエンサーというのは、人々の購買意欲に大きな影響を与える人のことを指していう。インフルエンサーはネットで人気のある個人ブロガーや、芸能人、特定分野の人気専門家などがそれにあたるが、個人の発信力が大きな影響をもつ現代だからこその概念ともいえる。
インフルエンサーがなぜ消費行動モデルをシンプル化させているか?
わかりやすく比較するためにAIDMAやAISASを引き合いに出して説明しよう。
AIDMAやAISASにおいては、認知→興味→欲望→記憶・比較・検討→購入といった一旦他のものと比較検討したり、記憶しておいてまたあとで考えるというモデルになっている。ただ、インフルエンサーの情報から商品を知り、購買にいたる人の中には比較検討や記憶のモデルがなく、そのまま商品を購入するパターンも多くある。
また「認知→興味」というのは通常、広告を見ることが認知で、クリックして中身を見て興味を持つ部分を興味とする。しかし、インフルエンサーを常にチェックしている人(つまりインフルエンサーのファンである人)は認知から興味に行く確率が非常に高かったり、同タイミングであったりする。
このようにインフルエンサーは消費行動モデルをシンプル化させている。
あなたの会社がWebサイトを運用しているのであれば、それは立派な情報提供者だということだ。
情報提供者としてWebのあらゆる特性を知り、あなたの会社にあった情報の提供方法を検討することが、あなたの会社にとってWebの本質的な価値を利用したWebマーケティングといえるだろう。